nagomusiの染め織り日記

大分県由布市で、染め織りの体験教室をやっています。

昨年秋よりお休みしていたブログ再開!

パソコンが壊れたことがきっかけで、
空白の日々がずるずると長引いてました。
心配してお声をかけてくださった方、ありがとうございます。


おかげさまで織り教室も染め教室も充実した日々を送っておりました。
生徒さんたちの素晴らしい作品もこの間たくさん生まれていましたよ。
たまりにたまった写真も、少しずつ整理できてきましたので
これから少しずつUPしていきます。

2012年の秋の作品から

シンプルの中にも静かな主張があるOさんの柿渋染めのれん。
織り布のつなぎに柿渋糸のりぼんでアクセントをつけました。
6枚はぎの手織りのれんはやはり存在感がすごい!



表装のプロKさんの作品。ご自身の絹裏地を草木染め(ティンギ)で染めわけて
裂糸を作りました。あえて布のみみを出して、木の葉のイメージを表現。
きちっとしたお仕事の中に遊び心もあり、1月の表装個展も素晴らしかったです!

剣太君裁判  −弁護士さんの涙ー

3年前、竹田高校剣道部で重篤な熱射病で亡くなった工藤剣太君の裁判は
原告、顧問、副顧問、病院側の尋問を終えました。
傍聴席は大体満席。公開裁判でたくさんの人が原告、被告のやりとりを目撃しました。


はりつめた空気の中で、相手弁護士の尋問に答えていく原告、被告。
原告の証人喚問は先に書いたが、剣太君のお父さん、弟さんがつらい思い出し作業の上に
法廷に立ち、被告弁護士の執拗な的はずれな質問にも苦しみながらも誠実に答えていた。
そして、原告の顧問、副顧問、病院側はというと。。。
それぞれが、保身、責任のがれ、心からの反省は、全く私には感じられなかった。
顧問については問題外。何せ、事故後の部員たちが苦しんで証言した「調査書」すら読んでないのだから。
見るのがつらいから、こわいからとまるで幼児の言いわけ。
反省、どころではない。遺族に頭すら下げない。


副顧問ははきはきした声で、「剣太君のことを思い出さない日はありません。
東の空を見て毎日水をあげながら、どうしたら彼が命を落とさずにすんだのか考える日々です」
と始めに言った。「大変申し訳ありませんでした」とも言った。
お!この人は良心が残っているのかも、と期待したのもつかの間、その後は
知らぬ、存ぜぬ、自分に権限はない!を決め込んでいた。
「副顧問で部活に来る日も少なかった」
「剣太くんがそこまでひどいとは思わなかった。」致命的になった顧問の執拗な剣太君へのびんた
やふらふらの剣太君の行動に対しての「演技をするな!」も「過去にもこんなことはあったのかなあ」と。
だったら自分に止める権限はないと。
前蹴りに対しても「見てない」。剣太くんが倒れたのも「水で足をすべらせたのかなあ」
これには一同どよめいた。友人達が剣太君の命の危険を感じて
必死で水を飲ませようとしたり、かけたりした水で?足すべらせるって?

剣太君のお通夜で「(顧問を)止め切れませんでした」との言葉は
あの時は混乱していたと撤回された。
原告弁護士が「あの現場で、状況を止めさせられた大人はあなたしかいなかったのでは?」
には答えに困ってました。


そして病院側。
素人が聞いても、あきらかな判断、医療ミス。
「剣太君が病院に着いた時37,1度しかなかった」「顧問はそんな激しい練習はしてない、と言った」
「頭部外傷があった」等々の理由で、結局2時間も剣太君は冷やしてもらうことはなかった。
まず、救急車の中でわきを冷やして搬送されるのだから、一時的に熱が下がっているのは当然といえば当然。
激しい練習をしてない、を真に受けたのは仕方ないかもしれないが、
といっても剣道の胴着を着ての練習、真夏の一番ピークに暑い時間帯だ。
熱中症。。。病院なのに。。。想像力はないのだろうか?
頭部外傷を疑ったちしても、とりあえず冷やしてもなんの支障もないわけで、しかも
頭部レントゲンをとるのにしても病院着いてから、1時間20分もたってからだ。
CTも使えなかったらしい。
剣太君の体は煮えたぎり、その頃には42度に達していた。
慌てて3点冷却、4点冷却するも、逆に血流を阻害して熱をためてしまうことになった。
的はずれな治療は続き、17歳の未来ある若者はいとも簡単に帰らぬ人となった。
死後4時間たっても県警の直腸温検査で40,5度であった。


剣太君は体力のある剣道3段の腕前のまじめな17歳であった。
熱中症は症状がでて20分で冷やすことができれば大丈夫だそうだ。
学生の「死に至る熱中症」はまぎれもなく、その時かかわった大人の責任だ。


だが、肝心の大人たちは自分の保身でいっぱいだ。後は責任のなすりあい。
一人遠くに旅立った剣太君は、空からこのあり様をどのようにみているだろうか。。。
被告の大人たちは、ほんとに一人になった時、良心の呵責の耐えきれない、
ほどの体験はないのだろうか?
人間は追い詰められた時、自分に都合よく過去の事実は塗り替えられていく生き物らしい。


先日行われた剣太の会の最後に剣太君のお母さんがおっしゃった。
熱中症の今の知識があって、あに時に帰れば剣太を助けられたかもしれない。
病院はさっさと転院させただろう。」と。
「祖父はしきりに、病院の異常さを指摘して移そう!と言ってましたが
私たちは、最後まで病院を信じてしまいました。
悔やんでもくやみきれません。」と。


「それから苦しむ剣太のムービー撮ろうぜ!後でおまえこんなに苦しんでたんだぞー!
といった弟を「なんいっちょん!」と制した。
その時はもちろん家族だれも剣太が死ぬなんて思いもしなかったから出た会話だ。
葬儀の時、剣太の真っ黒い遺体を撮った人がいた。
不謹慎!と怒ってデータも消させた体験も話してくれ、
「今にして思えばですが。。証拠を映像に撮っておけばよかったと思う。何もないんです。」とおっしゃった。
「もちろん、あの時あの現場において、親としてそんなことできるはずもなかったのですが」
「もし、これからみなさんやみなさんのお知り合いがこんなことに遭遇した時、当事者たちはできないかも
しれませんが、記録をとる、写真を撮ることの重要性を伝えてあげてください。」と。


見ると、弁護士さんが眼鏡をとって何度も涙をぬぐっていた。
剣太くんのご両親と二人三脚で裁判を闘ってくれている心強い味方だ。
証拠を求めてどれだけ苦心努力されてきたのだろう。
母親が愛してやまない子供の痛めつけられた映像を、「撮ってれば」という。
どれほど、つらい思いで裁判をやってきたか、がわかる。
ご両親は味方だと思っていた方に「陳述書を書いてほしい」と頭を下げるも
いざとなると「できない」と言われたことも多々あったそうだ。


弁護士さんの涙を見て、せめてこのような温かい血の流れる方に弁護をやっていただけて
せめてもの救いだと、思った。


次回は12月20日(木)口頭弁論(最終準備書面)
お母様の奈美さんが、今までの気持ちを法廷でぶつけます!
ぜひ!学校で子供が亡くなった、生の遺族の声を聞いてください。

よろけ織りバックと一閑張りバック

うちに一つしかない「よろけ筬」はいつもひっぱりだこ!
写真はOさんが以前制作したもの。
バックに仕立ててからは初めて見ました!
たて糸色の組み合わせもいいですねえ、
よこ糸は精錬前のきびそ糸を使いました。


それから、うちの工房で今大ブームの一かん張り。
その火つけ役&先生のTuさんは和紙の上にさらに織り布を張り
素敵なかごバックを持ってきてくれました。
例えば小さな端っこ織り布でもこれなら使える!
可能性は広がり続けます〜

Kaさんの美しい布

今年の秋で3回目の作品展をひかえ、Kaさんは精力的に制作しています。
ストールがメインですが、どの作品も趣向をこらしていて
それでいてシンプルで、着る人に沿うような織り布です。


一枚目は今まで少しずつ染めた真綿をご自身で
引き出した糸を使ったストール。スピンドルで紡ぎだした糸は格別です。
いろんな草木で染めたので色彩豊かな力作です。

二枚目はロッグウッドで染めた濃紺の紬糸と柔らかなゴールド糸の組み合わせ。
初めての試みでしたが、挑戦したかいがありました。
地層のようなダイナミックな作品!
ゴールドも控えめに効いていました。

三枚目は。。。ご苦労さまでした。
大島紬の束糸を経糸にとがんばりました。
巻き取りの時点で、絡んだり、切れたり。。。
挫折を繰り返しながら、励ましあいながら
何とか服地が出来る長さに整経できた時の喜びといったら(涙)
よこ糸もダブルシャトルを使っての根気のいる作業でしたが
コツコツとやり遂げました!
この織り布は縫製のプロWさんの手に渡り
この秋の作品展で贅沢なコラボを見せてくれる予定です!

織りも着々とできてますよお!

ついついためこんでしまう織り作品の写真。
記録は大事!と完成写真は撮らしてもらうのですが、なかなかアップできずごめんなさいっ


いきなり、今日は3枚アップします!まずは新作。
表装のプロの方が教室に来てくださってます。
で、先日念願かなって自作の織り布でついたてを作りました。
織りは2種類の糸をつなひき?させるシンプルな技法のみ。
木枠も作品に合わせて丸のこをひいた自作。
風にそよぐ布も美しいですが、こうやってピタッと裏打ちされた布も新鮮。
蝶ツガイも使わず、布に切り込みを入れるやり方で両面使えるついたてに
しばし、みなさん見とれてました〜!
今第2段にとりかかったとこ。次も乞うご期待!


2番目はKaさんののれん。
娘さんのリクエストで茶系希望でしたので
いろんな太さの柿渋綿糸を使用しました。
模様織りで変化もつけ、糸の太さの違いも味わい深く
いいのれんができましたねえ!
前回のリベンジ?今回は左右ぴしっと長さもきまりました。


今日のラストはよくご登場のTuさん。
いつも細かい服地や綾織りも多いのですが、
今回は自宅の窓にかけるブラインドのようなタぺ。
3羽筬に密度の違いを意識した経糸
はりと光沢のあるきびそ絹糸を使い、大胆に織りあげました。
夏前にはできていたので、きっとこの夏大重宝だったことでしょう!
日差しで、より存在感の出る趣のある一枚ができました!

8月28,29は藍染め教室

今年は定番のインド藍、生葉の他、すくも建ての藍液もつくりました。
すくも藍は日本産のたで藍を数カ月かけて発酵させたもの(を購入)。
今回は自然灰汁ではできなかったので、市販のアルカリ剤とハイドロを使いました。
商品管理されたインド藍パックにくらべると
発酵臭がして、より植物である「藍」を感じることができました。
来年は、すくもを使って木灰汁も自分で作ってみたいです!


でもって今年もユニークな作品がたくさんできましたよお!
7月宿題シリーズでミシン絞り、熱を通さないのでフィルムキャップ絞り、
夏休み最後に参加してくれた子供たちや研修の先生方も興味津々、
輪ゴムや豆絞りで素敵なTシャツを作りました。
すくも建ての藍も、染めの間不純物はたくさんついたけど落ち着いた藍色に。
生葉はうちのプチ畑で育ったたで葉。
シルクのストールはその材質によって生葉の発色も違い、  
一枚完成すると感嘆の声が沸き起こりました。